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【卒業生の声】丸いカタチから飛び出している子がいたら、その丸いカタチをもっと大きく広げて包み込む。そんな教員になりたい。


内田マサキさん(仮名)18歳。彼は都内の私立大学に通う1年生。今、教員を目指している。彼は、ADHD(注意欠陥多動性障害※)の特性があり、中学校では友達がいなかったという。


通っている大学でお話を伺いました


「中学校は毎日休みたかったですよ、友達いないですからね。


いろんなところで『マサキは~』って、先生からも、友達からも、先輩からも問題扱いされて、内気になることも多かったです。


でも学校に行かないのは良くないって自分の中で暗示をかけて、体調を崩すこともありましたが、どうにか通っていました。」



小学校では友達も多く、みんなの人気者だった彼の特性が、マイナスに現れたのは中学校に入学してからだった。


「思ったことを直接言ってしまったり、自分のことばっかり話してしまう性格で、よく思われていなかったんだと思います。


それじゃだめだと思っているのにうまくコントロールできなくて悩みました。


それと、思春期の時期に男女の境目ができるのが暗黙のルールだと思うのですが、僕は気にせずみんなに話しかけていたから、空気が読めない少し変わった子どもだったんです。」



そんな彼が、ダイバーシティ工房が運営する学習塾「自在塾」と出会ったのは中学2年生のころ。


「小4から中1まで、一般的な学習塾に通っていました。


でも、あんまり勉強は好きではなくて、やらされてる、という気持ちが大きかったですね。勉強に対して前向きにはなれなかったし、成績も変わらなかった。


そのとき母が口コミで聞いた自在塾を紹介してくれました。」



彼は、自在塾に入った当初から、教室や講師の雰囲気を好きになっていたと話す。


「自在塾はコミュニティがとても小さくて、アットホームでした。


入塾した当時、母親ともうまくいっていなかったんです。


たった一人で家事も仕事も頑張ってくれていたのに、反抗期で八つ当たりばっかりしていて。だから、なんとなく落ち着ける場所ができたのは、それだけでも嬉しかったです。」


自在塾に入塾した中学2年生の頃。同い年の塾生と。


しかし、自在塾でもトラブルは多かった。当時、英語を教えていた今田先生はこう振り返る。


「人との距離感をつかむのが苦手だったようで、過剰にスキンシップしがちではありましたね。


それを指摘されると暴言を言ってしまったり、授業の途中で帰ろうとしたり。


何よりも『どうせ俺はバカだし』が口癖で、自分自身に対してネガティブな感情を持っていることはすごく気になっていました。」



当時大学生だった大野先生はこう話す。


「マサキは塾長(代表不破の父)のことを『お父さん』って呼んでたんですよ。


本気で怒ってくれる塾長のことが好きだったんだと思います。


塾長だけではなくて、自在塾の講師は『将来どんな人生を送れたら幸せなんだろうか』という長期的な視点でいつも接しているんです。


それこそ、私たちは生徒のことを家族のように思っていました。」


マサキさんが「お父さん」と慕っていた塾長


自在塾では、お腹をすかせた生徒に授業前におにぎりを食べさせたり、「今日は家に帰りたくないからここに泊めてほしい」という生徒を受け入れたりもしていたそうだ。


彼の性格や苦手なことを彼の家庭と定期的に共有し、自在塾と家庭のサポートを受け、継続的に自在塾に通うことができたマサキさん。


そんな彼はいま、自ら希望した高校への進学・卒業を経て大学で学んでいる。自分に自信がなく、勉強への意欲もあまりもてなかった彼は、どのように進路選択をしてきたのだろうか。


「自在塾で教えてくれていた先生は、高校や大学での生活や将来何になりたいかなど話してくれたし、勉強以外の相談もたくさんのってくれました。


物知りで、人にいろんなことを教えている先生っていいなって、素直に思ったんです。


そのときに『先生ってどうしたらなれるんだろう?』と将来のことを考え始めました。


大学まで進学しないと人を教える立場にはなれないと気づいて、高校、大学と自分で進路を決めてみようと思ったんです。」


大学合格を祝って先生たちと記念撮影


今、どんな思いで教員を目指しているのだろうか。


「中学の頃には、僕に落ち着きがないとすぐに注意してくる先生もいて、幼心に大人っていやだなって思っていました。


だから、僕は生徒一人ひとりを理解してあげられる先生を目指しています。


もし僕みたいな子がクラスにいても、つまはじきにしないであげたいですね。


みんながいる丸いカタチから、飛び出している子がいたら、その丸いカタチをもっと大きく広げて包み込む。


ちょっと凸凹していたら、削るのではなく、周りの四角形を大きくして、みんながいる輪を広げる。


そうしたら、きっといじめもなくなるし、排他的ではなくなると思っています。」



※ADHD(注意欠陥多動性障害)とは

不注意や衝動性、多動性などが行動の課題として現れる「発達障害」のひとつ。相手の気持ちや場の空気を読むことが苦手、忘れ物が多いなど注意が散漫、突発的な行動が多くじっとしていられない、といった特性があります。脳などの中枢神経系に何らかの機能障害があると推定されていますが、具体的な全貌はわかっていません。



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千葉県が発行する教育情報誌「千葉教育12・1月号」にご掲載いただきました

千葉県教育総合センターが発行している「千葉教育(平成30年度12・1月)」に掲載していただきました。 ダイバーシティ工房運営する学習塾「自在塾」卒業生であり、現在は常勤職員として勤務する八神が提言として、自身が経験した高校中退とその過程で寄り添ってくれた大人との関わりについてをお伝えしています。 PDFで本文を読む

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